米国の「戦略的ビットコイン準備」構想、所管を巡り省庁間で綱引き
AI マーケットサマリー
米国の戦略的ビットコイン準備金の法的枠組みと監督をめぐる省庁間の見解の相違が報じられたことで、ビットコインにとって支援的と見なされてきた政策ナラティブに実行リスクが加わっている。財務省にBTCを管理する権限があるのか、商務省または司法省がより大きな役割を担う可能性があるのかといった疑問は、実施を遅らせ、カストディ、ガバナンス、そして最終的な処分ルールをめぐる不確実性を高める可能性がある。並行して進む議会での取り組みはこの構想を存続させているが、未解決のままである。
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トランプ政権が打ち出した「米国戦略的ビットコイン準備(SBR)」の創設計画が、想定外の壁に直面している。準備金の法的な枠組みをどう設計し、ビットコイン資産の主たる監督権限をどの連邦機関が担うかを巡り、政権内部で意見が割れているという。Bloombergが関係者の話として伝えた。
2025年3月の大統領令では、SBRを財務省に置き、他省庁は資産差し押さえに関わる業務などで支援する構図が描かれていた。だが、財務省がビットコインを直接管理する法的権限を持つのかが争点になっている。Bloombergは、この点が計画が当初の想定ほど円滑に進んでいない要因の一つだと報じた。
焦点は、準備金の「器」をどこに置くかだ。報道によれば、制度設計と監督を巡って商務省と財務省の見解が対立。ビットコインは価格変動が大きく、財務省の権限範囲との整合性を含め、法務・規制面の複雑さが指摘されている。代替案として商務省が主導機関となる可能性も取り沙汰され、司法省も関係省庁と連携しつつ、法的に取り得る選択肢を精査しているという。
投資家にとって影響は官僚手続きにとどまらない。統治の枠組みが当初案から変われば、資産の保全方法、保有・売却の意思決定プロセス、適用される法的制約が変化し得る。
SBR構想は、政府の金融戦略におけるビットコインの位置づけを改める狙いがある。差し押さえて裁判手続きの下で換価する資産という扱いから、戦略的準備資産として保持する方向へ転換する意図だ。ホワイトハウスは、米国を「暗号資産の中心地」とする取り組みの一環として、ビットコインの役割を制度化する方針を示してきた。
ホワイトハウス報道官のリズ・ハストン氏はCointelegraphに対し、「戦略的ビットコイン準備と米国デジタル資産備蓄の最適な枠組みを評価し続けている」と述べ、作業が進行中であることを強調した。Bloombergが伝える内部検討の状況とも整合的で、計画がなお形成途上にあることを示す。
米国政府はすでに実務上、ビットコインを保有している。保有量は328,372BTCで、評価額は211億ドル。公表ベースでは国家として最大の保有規模とされる。これまで裁判所命令に基づき一部を売却してきた経緯があり、国家保有ビットコインの運用実態は政策目標だけでなく、継続的な法手続きによっても左右される。
行政府が省庁間の整理を進める一方、議会でも準備金を立法で制度化する動きが並行している。5月に提出された「BITCOIN Act」と「ARMA Act」は、予算中立の手法で5年間に合計100万BTCを取得することを目指す内容とされる。ARMAは既存案を踏まえた上での発展版と位置づけられている。
ホワイトハウスの暗号資産担当上級顧問のパトリック・ウィット氏は、ARMAをBITCOIN Actの「Version 2」と表現し、ビットコイン準備の設立に伴う法的論点をホワイトハウスが綿密に検討してきたと説明。資産の安全策を確保し、法的に堅牢な土台に置くための「ブレークスルー」だとも述べた。
ARMAでは、ビットコインは原則として少なくとも20年間保有し、例外として米国の国債残高(約40兆ドル)を圧縮する目的で売却できる枠組みが示されている。長期の耐久性と戦略価値を狙う一方で、将来の債務削減への活用ルートも残す設計だ。実際の売却権限の運用は、いま問題化している監督権限や法的根拠の整理と不可分になり得る。
政府内の不一致が報じられる中でも、業界側はSBRをビットコインにとって追い風になり得るとみている。戦略準備としての位置づけが明確になれば、投資対象・政策資産としての正統性が強まり、従来の準備資産カテゴリーに近づくという見立てだ。
Bitcoin Treasuries Podcastのホスト、ティム・コッツマン氏は、SBRはビットコインを支援するだけでなく、「資本配分の全く新しいカテゴリーを検証(validate)するものだ」とコメント。上場企業の導入に続き、国家が同様の方向に動いているとの比較も示した。
各国の保有状況を見ても、Cointelegraphは15の国家がビットコインを保有していると報じている一方、正式なビットコイン準備を設け、定期購入まで行っている国としてはエルサルバドルが唯一とされる。
市場の関心は、準備金を作るべきかどうかから、どのように統治するかへ移りつつある。主導機関はどこか、どの法的権限が適用されるのか、長期保全と将来の流動化をどう担保するのかが当面の焦点だ。今後は、省庁間レビューが権限問題を早期に整理できるか、そして債務削減と結びつく長期保有ルールを含むARMAの枠組みが、実効性ある拘束力として制度化へ進むかが注目される。