SECのポール・アトキンス委員長、CLARITY法案が停滞なら暗号資産ルールを独自策定する可能性示唆

米証券取引委員会(SEC)のポール・アトキンス委員長は、議会でCLARITY法案の審議が進まない場合、SECが暗号資産(クリプト)に関するルールを独自に策定する用意があるとの考えを示した。デジタル資産の監督をめぐり、法整備の遅れを規制当局のルールメイキングで補うシナリオが現実味を帯びてきた。 アトキンス氏は、立法府の動きを無期限に待つのではなく、SECとして暗号資産のルール策定を進める余地があるといった趣旨の発言をしたと報じられている。これにより、市場構造(マーケット・ストラクチャー)をめぐる主導権をSECが先に握る可能性が改めて意識される展開となった。アトキンス氏はこれまでも、トークンや取引プラットフォームの監督方針について公の場で言及しており、今回の姿勢はその延長線上に位置づけられる。 要点は次のとおり。 ・アトキンス氏は、議会がCLARITY法案で足踏みする場合、SECが暗号資産ルールを設定し得ると述べた。 ・立法の停滞に対する"代替手段"として、当局主導のルールメイキングを前面に押し出した。 ・トークン、取引所、コンプライアンス部門にとって、直近の実務対応に関わる論点が一気に浮上する。 企業や投資家にとって重要なのは、SECによるルール策定は執行(エンフォースメント)を伴う直接的な拘束力を持つ一方、議会で審議中の法案は成立まで時間を要する点だ。今回の示唆は、アトキンス氏が示してきたトークン分類(タクソノミー)に関する枠組みの議論とも接続する。 ■CLARITY法案の遅れがSECの影響力を強める可能性 CLARITY法案は下院法案で、H.R. 3633として追跡されている。デジタル資産をどのように規制するかを定義することが目的とされるが、法案が停滞すれば、いわば"通行ルール"が法定化されない状態が続くことになる。 直近での成立期待は後退している。上院の日程や8月の休会(August recess)を踏まえると、審議のための時間的余地が狭まりつつあるとの見方が出ており、市場参加者は議会だけでなく規制当局の動きにも一段と目を向けざるを得ない。 SECが先行して動けば、取引所、トークン発行体、コンプライアンス担当は、最終的な法案文言が固まる前に当局定義の要件への対応を迫られる可能性がある。後から成立する法律が暫定ルールを修正・上書きする余地も残り、事業計画や体制整備の難易度が上がる。 この流れは、SECと米商品先物取引委員会(CFTC)の監督調整(ハーモナイズ)に向けた動きや、SECによる暗号資産セーフハーバー案の可能性をめぐる過去の議論とも交差する。これらがどのように結び付くかは、議会かSECのいずれかが正式に踏み出すまで見通しにくい。 SECは別途、2026年の規制アジェンダに関する声明で優先課題を示しているほか、暗号資産タスクフォースを通じて業界からの書面提出(written input)も受け付けている。 免責事項:本稿は情報提供のみを目的としており、金融・投資助言ではありません。暗号資産およびデジタル資産市場には大きなリスクがあります。意思決定の前に必ずご自身で調査してください。