アビバ、XRPレジャー上でトークン化流動性ファンドを提供開始 アイルランド初の認可取得案件

アビバ・インベスターズは、同社の「US Dollar Liquidity Fund(米ドル流動性ファンド)」のトークン化された受益権クラスをXRP Ledger(XRPL)上で立ち上げ、ブロックチェーン金融への本格参入を進めた。今回の取り組みは同社にとって初のトークン化ファンドであり、Rippleとの提携から生まれた初のプロダクトでもある。 新たな投資ビークルを組成するのではなく、既存の規制下にあるファンドを「デジタルツイン」モデルでトークン化。オンチェーンの各トークンは、オフチェーンで保有される当該ファンドの持分を反映し、投資家は従来型ファンドと同一の投資戦略、日次流動性、リスク特性、規制上の保護を維持したまま、ブロックチェーンによる効率性、透明性、24時間アクセスの利点を享受できる。 このスキームはアイルランド中央銀行(Central Bank of Ireland)の承認も取得しており、同種の規制承認済みトークン化ファンドとしては初の事例となる。トークン化金融商品が既存の規制枠組みの中で運用可能であることを示し、ブロックチェーン基盤に対する機関投資家の信認拡大を裏付けた格好だ。 運用体制には大手金融機関も関与する。保管機関(カストディアン)としてBNYメロンが基礎資産の保全を継続し、Komainuが規制対応のデジタル資産カストディを提供。Licuidoがトークン化のインフラを担い、ファンドをXRPLへ接続する。 Rippleは、XRPLは機関向け資産トークン化を念頭に設計され、ほぼ即時の決済、低コスト、エネルギー効率、コンプライアンス重視の機能を備えると説明する。2012年の稼働開始以降、同ネットワークは40億件超の取引を処理し、約800万のウォレットをサポート。130超の独立バリデータにより安全性が確保されているという。 市場関係者の一部は、今回の意義は「流動性ファンドのトークン化」にとどまらないとみる。XRPLのdUNLバリデータであるVetが指摘するように、実世界資産(RWA)をオンチェーン化することで、従来は受動的だった投資対象が、プログラム可能な金融インストゥルメントへと変わる可能性がある。通常、流動性ファンドの購入・償還・移転は営業時間内に従来の金融システムを通じて行われるが、XRPL上では、将来的に貸付の担保として活用したり、ネットワークの分散型取引所で流動性提供に用いたり、24時間365日、ほぼ即時にグローバル送付するといった用途が視野に入る。 投資家がトークン化持分を自己保管(セルフカストディ)できる点も特徴で、規制上の監督を損なわずに直接的な所有感を得られるとしている。 アビバの動きは、XRPLが機関投資家向けトークン化基盤として存在感を高める流れの中に位置付けられる。エンタープライズ級インフラ、規制受容の広がり、RWA採用の加速を背景に、伝統的金融資産の流動性、相互運用性、グローバルなアクセス性を高める決済レイヤーへと進化しつつある。 勢いはアビバに限らない。今後予定されるStellarウォレットの統合により、約150万人の追加ユーザーがXRPLエコシステムに流入するとの見方があるほか、RedotPayによるRLUSD活用の決済カードなど、トークン化資産やステーブルコインが投資と日常決済を滑らかにつなぐ事例も出てきた。 これらの動向が示すのは、XRPLがRWAをオンチェーン化するだけでなく、それらの資産が世界規模で24時間移動し、相互に作用し、決済できるためのインフラ整備を進めているという点だ。